「建て売りゆうたらこんなもんや」 「木は乾燥するもんやから床がしずんでも当たり前ですよ」 「コンクリートは収縮するから亀裂は必ずおこるもんなんです」 売り主や、施工業者のそうした冷酷で、無責任な発言をよく住宅現場で聞きました。 そうした発言の裏にこそ今の建築業界の下請け、孫請け制度による手抜き工事や、施工ミス等によってまさに欠陥住宅が生みだされる大きな原因があります。 悪質な施工業者はいうにおよばず、優良といわれる業者でもよく施工ミスはあるものです。 ひとつには家というのはテレビや冷蔵庫といった工業製品ではなく、大工や左官屋を含め何十人といった人々によって作られるものであるからです。もちろんだから欠陥住宅が生まれても致し方ないといったものではなく、いかに建築関連法にもとずく建築士や現場管理者のチェックや監理が重要かということがいえます。
今回は特に相談の多い欠陥部分とその対処法を紹介したいと思います。
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屋根からの雨漏り
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原因:屋根瓦の場合→瓦のずれ(地震や風力による) |
対処:ずれた瓦の下部の土を除去し、新たに粘性の良い土を敷き瓦を差し込む。又は銅製か、真中製の釘で瓦を固定する。 |
原因:モルタル瓦(セメント瓦)の場合→施工中に割れる可能性があるので割れた瓦を取り替える必要がある。 |
原因:カラーベスト(フルベスト)の場合→主に水切り鉄板の施工不良による。 |
対処:水切り鉄板の継ぎ目にシーリングを施す。場合によっては外壁をカットし水切りそのものをやり直ししなければならない場合もある。 |
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外壁からの雨漏り
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原因:モルタル壁の場合→外壁の亀裂(サッシ回り・換気ガラリ周囲) |
対処:樹脂系又は変性シリコンにてコーキング施工をする。 |
原因:サイディング壁の場合→ ・サイディング本体の合わせ目がきちんと差し込まれていない場合(施工不良) ・目地コーキングの施工不良 ・止め釘が少なく「ふくらみ」の状態になったとき ・サッシ回りのコーキング不良又は未施工 |
対処:増し釘によって「ふくらみ」をなくす。目地不良に対し変性シリコン系のコーキングを施す。 |
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雨樋からの雨漏り
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原因:・軒樋(のきどい)の勾配不良によりオーバーフローした雨水が軒先から内壁へ浸水する。 ・竪樋(たてどい)の太さに問題があり、雨量が多いとき排水能力を欠き内壁へ浸水する。 |
対処:軒樋の勾配や竪樋の太さ、本数を点検し再施工しなければならない。 |
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モルタル壁の亀裂
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原因:・壁下地材の不良、又施工不良による反り現象が起こった場合 ・セメント・砂・水の調合不良の場合 ・伸縮目地をとらない場合(2〜3ミリ) ・下塗り・中塗り・上塗り等の的確な作業工程をはぶく場合 ・建物全体にゆれがある場合 ・下地及び施工が完全であってもセメント自体の乾燥による場合 → 乾燥収縮、硬化時の硬化収縮による亀裂が発生する。 |
対処:亀裂巾の大小に関係なく、Vカットをし、樹脂系シーリング材を注入し再塗装 |
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サイディング壁の亀裂など
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原因:サイディング本体の亀裂が発生する可能性は低いが、継ぎ目のシーリング材不良の場合、収縮・乾燥が進むと亀裂が入る。 |
対処:亀裂の入っているコーキング材を撤去し、変性シリコン系のシーリング材にてコーキングする。 |
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床や外壁の傾き
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原因:土地が軟弱地盤であったり、地震等により地盤沈下をおこした場合
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対処:地盤改良材(薬液)の注入等により、地盤沈下の進行をくいとめる。 |
原因:建物の躯体部分(基礎、柱、梁等)上からの加重に耐えられず傾斜した場合
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対処:一部壁や床を取り外し、「引き」の作業をしながら、躯体の補強工事をする。 |
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結 露
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室内温度と室外温度差が大きいことが原因となり、ガラス窓や、クロス壁、押入等に水滴が付くことを言いカビや腐食の原因となり、特に冬季によく見られます
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原因:部屋内外の温度差を少なくするための換気口がないこと、暖房をしたまま長く部屋を閉め切った状態にしてくことが原因です。
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対処:換気口がない窓等は換気(通気)口をつける。換気窓は「開く」の状態にしておくこと、時々窓や扉をあけ外気を入れることで防げます。 |
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下水・排水不良
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原因:本管(道路部分に入っている公共上下水道)と建物に敷設している管の接合不良、あるいは道路面(GL)との傾斜角があやまっている場合
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対処:当該市役所(下水道部)に調査を依頼する。建物の配管図面等を専門家にチェックしてもらう。 |
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床のたわみ・床のきしみ
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原因:束石→床束→大引→根太が一体化されていないこと
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対処:部材の取り替えや金物等で固定化する。 |
原因:施工不良により根太の上端が不ぞろいになっている場合
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対処:床下よりフロアーと根太のスキ間にノリづけしたクサビを入れる。 |